UGOKUCHI:39
UGOKUCHI COLUMN

LとRだけじゃない — 日本人がつまずく英語の音、全39リスト

2026-08-02・draft(英語科・ネイティブ監修前)

「日本人は L と R が苦手」——これはよく知られた話ですが、実は氷山の一角です。日本語と英語では音のセットが大きく違うので、つまずきポイントは39音それぞれにあります。この記事では、どの音が本当に「通じやすさ」に効くのかを研究ベースで整理してから、39音ぜんぶのつまずきポイントを一覧にしました。

/r/ の断面模型
/r/ 舌はどこにも触れない — 浮かせたまま
/l/ の断面模型
/l/ 舌先を歯ぐきに付ける
王様ペア /r/ と /l/ の断面。耳で迷っても、舌先の位置は目で見れば一目瞭然

「通じにくさ」に効く音はどれ?

音の取り違えのダメージは、音によって大きく違います。取り違えると別の単語になってしまうペアが多い音ほど、誤解に直結する——この考え方が「機能負荷」です(Catford 1987)。日本人学習者にとって特にダメージが大きいのは、この4組です。

  • /r/ ↔ /l/(rice / lice)— 機能負荷 83/100。効き目最大級の王様ペア。/r/ の模型・/l/ の模型
  • /æ/ ↔ /ʌ/(hat / hut)— 68/100。日本語では同じ「ア」に潰れる母音ペア。/æ/ の模型・/ʌ/ の模型
  • /s/ ↔ /ʃ/(sea / she)— 53/100。「シ」の癖で sea が she になる。/s/ の模型・/ʃ/ の模型
  • /b/ ↔ /v/(berry / very)— 日本人学習者の発話で、聞き手の理解しやすさを実際に下げることが確認された置換(Suzukida & Saito 2021)。/b/ の模型・/v/ の模型

逆に、悪名高い /θ/(th)は機能負荷が最低クラス(θ–ð で 1/100)。国際英語の発音基準では「なくても通じる音」に分類されることさえあります。「有名な苦手」と「直すと効く苦手」は別物——練習時間は効く音に使いましょう。

グル
グルつまり L/R が本命で、th は…あんなに有名なのに、おまけ扱いなんですか?
ニコ
ニコ有名と大事は別やねん。th は舌が見える音やから、「ついで」でも直りやすいしな。
グル
グルわかりました。それで、僕がやりがちなつまずきは、どこで調べれば…?
ニコ
ニコ下に39音ぜんぶ並べたで。心当たりのあるやつから見てみ。

39音のつまずきポイント全図鑑

日本語話者がやりがちなミスを、39音すべてについて1行ずつ挙げました。「あ、これ自分だ」と思った音が、あなたの練習リストの先頭です。音をタップすると、その音の断面模型に飛べます。

短母音 SHORT VOWELS

長母音 LONG VOWELS

二重母音 DIPHTHONGS

破裂音 PLOSIVES

摩擦音 FRICATIVES

No.22/f/下くちびるを上の歯にあてて、息を通す音上の歯を使わず、両くちびるのすき間から息を出して、日本語の「フ」になってしまう→No.23/v/下くちびるを上の歯にあてて、声帯をふるわせる音くちびるを閉じてしまい、/b/ のように聞こえてしまう(/b/ との違いは、くちびるを閉じずに下くちびるを上の歯にあてること)→No.24/θ/舌先を前歯でそっとはさんで、息を通す音舌先を前歯にはさまず、日本語のサ行で言ってしまう→No.25/ð/舌先を前歯でそっとはさんで、声帯をふるわせる音舌先を前歯にはさまず、日本語のザ行で言ってしまう→No.26/s/舌先を上の歯ぐきに近づけて、息を通す音see や seat の s を日本語の「シ」で言ってしまい、see が she、seat が sheet に聞こえてしまう→No.27/z/舌先を上の歯ぐきに近づけて、声帯をふるわせる音舌先を歯ぐきにつけてしまい、zoo が「ヅー」のような音になる。また語のおわりで声帯のふるえが止まり、buzz が bus のように聞こえてしまう→No.28/ʃ/舌の前のほうを上あごに近づけ、くちびるを丸めて息を通す音/s/ と取り違えて、she が see に聞こえてしまう。また日本語の「シ」のままだとくちびるが丸まらず、英語らしい響きにならない→No.29/ʒ/舌の前のほうを上あごに近づけ、くちびるを丸めて声帯をふるわせる音舌先を歯ぐきにつけてしまい、/dʒ/(jump の j)のような音になってしまう→No.30/h/のどから息だけを出す音who や hood の h で、くちびるを日本語の「フ」のように強く狭めてしまい、/f/ に近い音に聞こえてしまう→

破擦音 AFFRICATES

鼻音 NASALS

接近音 APPROXIMANTS

まず1音、触ってみる

リストの全部を直す必要はありません。上の優先ペア4組(/r/-/l/・/æ/-/ʌ/・/s/-/ʃ/・/b/-/v/)から1音選んで、断面模型で舌の位置を見てから、鏡の前で3分。それだけで「耳だけの練習」とはまったく違う手応えがあるはずです。